【演奏会記録】2017/4【出た方】

おまたせいつもの、というかこれしか書いてないんじゃないかという説。もうちょっとしたらそれ以外のネタができるはずだけど…

4/15: フェイスフィルハーモニー管弦楽団 第33回定期演奏会

日時 2017年4月15日(土) 13:00開場 13:30開演
場所 世田谷区民会館
曲目
ロッシーニ:「セビリアの理髪師」序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》(独奏:桑原 志織)
ブラームス:交響曲第4番
指揮 湯川 紘恵

(出番はセビリアの2ndとブラ4の1st)

…というわけで、13年オケやってて初のブラームス交響曲です。今までやる機会がなかったことには他のメンバーからブラームスをやるには不適格だとされてきたことが大きいだろうと思うわけですがそれにしても13年ってすごいな。今回はそのへんについて書こうと思います。

ベートーヴェンブラームスは神聖視されすぎている

あとオーケストラで演奏されることの少ないバッハも同様、いわゆる3大Bはその知名度に比して演奏されることが(比較的)限定的で、その中でも「一般的な近代オーケストラの編成」に最も近い編成を持つブラームスですら演奏されることがある程度限定的になります。バッハとベートーヴェンはちょうどいい編成サイズを持つオーケストラが少ないということが理由とするのはわかるのですが、特にブラームスは「編成的に手頃」な作品の中では避けられる傾向にあると思います。その理由の多くは「自分たちはそれを演奏できるレベルにない」とすること。要求されるテクニックで見たらもっと難しい曲をこなせる人があえてそれを言うからには構造が難しいのか…?という割に、同じような理由で構造的によりわかりやすいベートーヴェンも避けたりするのでよくわからない。

ブラームスらしさ」の話

…で、選曲の段階や実際の練習に入った段階でよく聞く発言が「お前の演奏はブラームスっぽくない」という発言。さて、これを「お前の音が嫌いだ」もしくは「お前のことが嫌いだ」以上の意味で使えている場合はどれほどあるのか?

他の同時代〜周辺の時代の作曲家と明確に比べられる要素として、ブラームス特有の難しさは「リズムの難しさ」に出てくると言ってよいでしょう。ただ聞いていて小節の頭を適切に数え続けることが難しい、というのは同じ時代の曲、しかもその作曲家の代表作とされている曲でこれほど出て来ることはないと思います(*感覚的な問題だし厳密に範囲定義してないので厳密な主張ではない)。ですが使われている拍子は普通の3拍子や4拍子です。音楽の3要素の中で「リズム」だけが尖って難しい、という意味で非常に特異、といえばもうちょっと正確なwordingになるのでしょうか。それ以外の要素について言うならばその時代の作曲家の曲を演奏する範囲のテクニックで十分収まっているといえます。…とはいっても、そのリズムの面でのテクニックが、世にいう「保守的」なイメージからは全くかけ離れているんですけどね…。

歌い方が足りないとかそういう意味でしか使ってないなら全く違うと思いますし、リズムがズレてるのならもっと適切な表現があるはずです。ブラームスさんが代わりに殴ってくれると思うな。

ちなみに今回エキストラでの参加だったのでその辺の面倒事は一切なく、音楽的な問題解決に集中できたのでよかった。

4番の話

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前の段落やその前のところでの言いたいことは3楽章のスコアの1ページ目で察して、という感じ。1小節目のスラーのつき方は2対2対1ではなく1対2対2、すると2小節目の頭はスラーの終わりの音になります。…ね?面倒でしょ?と思ったら16-16-8が4つ並んでるフレーズは裏拍スタートですよ?面倒でしょ??でなんならホルン1-2と3-4は入れ違いですよ?この程度ならまだ軽いけど、6小節休みって書いてあったりすると「ちゃんとどういうフレーズの進み方してるのかわからない」と即落ちます。だからといって表拍で書いてあるから表っぽく演奏するのが正しいのかというとまた別の問題で、はいお疲れ様でした、そういうことです。

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これ4楽章の練習番号Aの手前の木管ですが、スラーの末尾の表拍を表拍っぽくやったら妙な感じしますよね?そういうことです。

でさらに、今回やった4番について言うならば、「一人でピアノで弾くとか二台ピアノで弾くとかだったらまだわかりやすいハズなところが、オケのいろんなところに音符が散ってるのが難しい」、というのがついてきます。そんな例は結構すでに出てきてるような気はしますが…。

「傾向と対策」

今回の本番に向けてやった練習で、メカニックの練習をしたのは基本的には以下の箇所のみ:

  • 1楽章の3連符、特にF#-A#が絡む指は小指で取る場所を確認し楽譜に明記
  • 1楽章133小節目-134小節目。1回目の降りた先のF#を小指で取り、2回目は親指で取って親指を動かしてA#を取る(のを選択した。小指でとってもいい)
  • 3楽章練習番号C手前ともう1箇所同じパターンのところ
  • 3楽章、125小節目からしばらく。ここが一番難しい

…という格好で、メカニカルな練習はほとんど必要ありませんでした。単純に地力が上がったというのもあるかもしれませんが、ここ数年の地力上昇の前にやったとしても数か所増えた程度で済んだと思います。それくらいパート譜の技術的難易度はそこまで高くない。だからそれが問題ではないと言ってるだろう…!ということです。

あとは「楽器を使わない練習」の出番です。2楽章ならば遅い6/8のうち何拍目に音がスタートするのか、3楽章で裏拍スタートならそれは前にどんな音が流れててどっちのつもりでスタートすればいいのか、とかをひたすら書き込んで行きます。

…そういえば、2楽章冒頭をひたすらピアニッシモで吹く用のリードを削る作業も必要でした…

で本番

覚えてる限りで2楽章で練習番号Dから先何回か見失ったのが痛すぎた…。それ以外は直前までの「楽器を使わない練習」がかなり効果があった感じ。2楽章冒頭のリード選択はよかったのだけど息切れ気味だったのは単純な体力の問題かな…。指の問題はほぼ解決した状態でできたので今までの「発表会後の本番シリーズ」の中では一番まともにできたハズ。


追記:ブコメ返信

ブラームスって集客力的な意味でチャイコと並んでTHE・無難という認識だったけど神聖視されてるのか…

これは自分の観測してる界隈だけかもしれませんが、トレーナーの先生がついていて影響力が大きい学生オケ(中高の部活のオーケストラで顧問の先生の影響力の強いところも含む)と、学生オケに所属しているメンバーが大多数を占める団体だとそういう傾向がある、と思っています。ある程度実力があるとみなされている人が自分の団体の技術にそこまで自信を持てていない場合にストップをかける感じですね。技術ストップでわかりやすい理由がつく曲に比べると「わかりにくい理由」でのストップがかかりやすいです。