今度こそブームが過ぎ去る前に。
頒布物について
頑なにジャンルかぶりを回避することに定評のある弊サークルですが、今回はまだVer.1.0になってないバージョン管理システムPijulの紹介本です。日本語の解説はκeen先生の記事しかほとんど存在していないというシロモノです。というかκeen先生2016年にこの記事書いてたのか…
「開発手法」
組版
は前回同様LaTeX。そらあ三木里さんがLaTeXプロいんだもん。
前回の書体が全部ゴシック体統一だったのがちょっと気になったので今回は本文の和文を源流明朝で組んでいます。良質なフォントと眼鏡っ娘は国の宝。
チーム開発関係
前回同様Keybaseを使用。ということは当然のごとく暗号化付きGitレポジトリを使用。Pijulの本なのにGitかよ!というツッコミは当然のごとく飛んでくると思われるのですが、暗号化チャットと連動する暗号化Gitレポジトリっていう部分には残念ながら今のPijulでは勝てません。とはいえパッチベースなので暗号化の扱い方はGitより楽に扱えそうですし、Pull Requestとかのフローを使わずに少人数開発するんだったらPijulのほうが楽なので、暗号化PijulレポジトリがKeybaseに乗ったりしないかなーしないよなーなどと思っています。
出版に至るまでの経緯
今回は前回よりは若干面白みに欠けるので単純に。
2018/6くらい
技術書典5開催情報がメールで来る。今回の申し込みは申し込み締め切り当日だったハズ。Dark Depths of SMTPも残り少々まで来てたし、私が新規にネタ用意できるかギャンブルだったのでそもそも出るかも迷ってました。コミアカのほうは書きたいネタが準備できてたのですが、それは書典向きでないものなので…*1
2018/8/2
当選通知。
2018/8/12
レポジトリが立つ。
2018/8/20
読みたいネタで何かある?と聞かれたので"A Categorical Theory of Patches"の解説、と言ったら私が担当することになる。…あれ?私数学が壊滅的にできないので学部余計に1年やってたんじゃなかったっけ…???
2018/9/5
社内勉強会で軽くしゃべる。
2018/9/8
家で論文読み会をやる。なんかモダンフォーマットとかDKCシリーズのspeedrunについて話してた気がするけど多分気のせい。
2018/9/20
— Cranky (@_cranky) September 18, 2018
2018/9/25-29
W3C Workshop for Permissions and User Consent遠征。行きの飛行機で論文読みながら、帰りの飛行機で原稿を書いてた。だいたいここで半分くらいまで終わる。
2018/9/30
昼までぶっ倒れてて、で深夜にやっと一通り原稿終了。
2018/10/2
標準価格にて入稿。今回は標準価格でも全部はけば元は取れる設定なのでまあ妥当。
結論
前回もそうなんだけど、なんでW3Cの用事と入稿締切付近が重なるんですかねえ…???しかも次回が4月だと仮定すると同様に予定ある可能性が高いんですけどどういうことなんですかねえ…???とはいえサボっていた部分を完全に否定することはできないにせよ、実際にこの内容で文字書くのはここまで遅らせないとできなかった。というかよく書き上がったな感すらある。
当日
セットアップ
設営完了。Iconic Masters版Cryptic Commandのプレイマットが目印!左が新刊、右が既刊です #技術書典 #技術書典5 pic.twitter.com/0bjSMUTLF4
— sylph01 (@s01) October 8, 2018
前回のコミアカのときからこのセットアップで行っているのですが、
- Iconic Masters版Cryptic Commandのプレイマット
- 展示用イーゼル(100円ショップで買った)
- 道具入れ
- 500円玉ケースx1、100円玉ケースx3
- 黒油性ペン、赤油性ペン、黒油性ペンの太いやつ
- 付せん紙
- メモ帳
あたりが定番セットアップになりつつあります。思ったのは、のぼりまでは要らないにせよ卓上スタンドはあったほうがいいなという感じがした。
頒布実績
- Dark Depths of SMTP: 17/17(完売!)
- バージョン管理 with Pijul: 69/100
前回のDD本が53だったので目標を50に設定してましたが、えっとこの内容で69も売れるの、技術書典っていう空間異常じゃねえの???参加者数が2倍近くになったんだから2倍に増えないのは宣伝戦略が甘いとか、3桁売れてないので宣伝ミスったとか、被チェック数最適化してないのは甘えとか、そういう勝負してないので、とにかく本を手にとってもらえたことに感謝しきりです。いやほんと、様子見てる限り私が一番読みたいと思っていた理論の説明の章見た途端にコレジャナイって反応示してる人がかなりいたようで要求した/書いた身としてはほんとスマンカッタという感じだし、これがあったので買ったという奇特な方も何人かいらっしゃったようなのでほんと感謝です。
Dark Depths of SMTPは無事完売したのでEFAILに関する補足を追加した電子版が出る予定です(EFAILに関する補足はアップデートページにも追加する予定)。
今後の活動
97%くらいの確率でコミアカは出ます。主に中高生・文系学生向けのコンピュータ入門以前の本が出る予定です。こんなん書いてるときに学部でめっちゃ実績あげてる人の記事が出るとそもそも情報科学入門とか私のようなCSドロップアウト/IS底辺が書かんでもいいのではという気にもなりますが公益事業なのでまあ。
ネタ
今回はMagic: the Gatheringネタは仕込んでないのですが、表紙が青なのはまあ《謎めいた命令/Cryptic Command》は青の呪文だし、って理由です。
あと、あとがきにSMTPの話を挿し込んだのは私です。
*1:前回のコミアカにDD本持っていったらあまりにも層が違いすぎたのでして…